コーヒータウンとの出会い

日本の話です。
私は長いこと、コーヒーの町、といえば、名古屋を連想していました。
15年くらい前、兄が仕事で住んでいたこともあり、名古屋にはよく行ったものです。
とにかく喫茶店が多く、日常で、何杯もコーヒーを飲みに行く、という習慣があることに驚きました。
モーニングやランチのメニューが、なかなか特別で、ちょっとびっくりするような組み合わせがあるのは有名ですね。
実際、コーヒーはおいしかったです。
生活に根ざす度合いから、やはりコーヒー・リテラシーが高いのでしょう。

栃木県の北、那須高原のふもとに、大田原というところがあります。
そこで毎年、コーヒーフェスが開かれているそうです。
ふと、置いてあったチラシを手にして、初めて知りました。
デザインがおしゃれで、とっておきたくなるようなパンフレットでした。
周辺地域を含め、結構な数のカフェやロースターの皆さんが出店しています。
けっして大きくはない街のエリアに、これぼどの数のカフェがあるのですね。
チラシには、カフェやグルメスポットのマップが載っていて、ゆっくりカフェ巡りもできそうです。
街に住む人たちは、仕事前や、休日、サイクリングなんかしながら、カフェに立ち寄り、おいしいコーヒーを楽しむ。
つい、そんな素敵なライフスタイルを想像してしまいます。
まさにコーヒーの街、カフェタウンですね。

先程から「カフェ」、と書きましたが、それは、一昔前のいわゆる「喫茶店」とは印象が異なります。
少なくとも私にとっては。
でも、「コーヒーを飲みたくて」来店する人にとって、その違いはあまり関係ありません。
コーヒーが飲みたい。コーヒー飲もう。
お店が新しく、いまどきな雰囲気でも、昭和の喫茶店風でも、チェーン店、はたまたコンビニであっても、飲み「もの」は同じです。
同じコーヒーチェリーの実から作られる、コーヒーですから。
でも、私たちは、同じコーヒーでも、いろいろな生産国と、それぞれの香り、風味の違い、作り方の違い、をカフェの人から教えてもらうようになります。
コーヒー豆がどこから来たのか。
どこで栽培され、だれが収穫し、どのように加工されたのか。
カップを手にして、おいしい、と感じるその香りと味に、そのコーヒー豆が辿ってきたストーリーがある。
そこにかかわる、数えきれない、人のストーリーも。
それまで漠然と耳にしていた、「サードウェーブ」という言葉の背景を、私は知ることになります。
大田原から少し山のほうに上がると、那須高原が広がっています。
その那須にも、最近カフェが増え、遠くからコーヒー好きが集まってくる、ということを知りました。