コーヒーとの出会い

私は、お茶が大好きです。
といっても、紅茶や中国茶に詳しいわけではありません。
朝起きると、まずはお湯を沸かし、お茶を淹れます。
緑茶です。
何杯も飲むので、最後まで出の良い、深蒸し茶を愛飲しています。
ずっと長いこと、毎朝欠かさず続けているので、朝お茶を飲まないと、一日が始まらない体になってしまいました。
昔、父が毎朝、家族にお茶を入れていた習慣のせいだと思います。
お茶ではなく、毎朝コーヒーを飲んでいた時期もありました。
会社務めの頃は、オフィスにあるコーヒーを、一日に何杯も飲んでいましたが、仕事で体を壊したのをきっかけに、2年ほど全くコーヒーを飲まなかったこともあります。
その後、一日一杯だけと決めてコーヒーを飲むようになったら、それ以前と比べて、体調が良くなったのを憶えています。
コーヒーのありがたみと効用を、その時はじめて知った気がします。
コーヒーは濃くて、苦味のあるのが好きでした。
初めてコーヒーが美味しい、と思ったのは、スペインです。
スペインは、エスプレッソが一般的で、カフェ・コン・レチェ(カフェラテ)をよく飲んでいました。
ミルクのないカフェ・ソロは、苦くて強烈、そのまま飲むのは大変でしたが、苦い中にも酸味があったりして、それまでのイメージがすっかり変わり、コーヒーが初めて好きになりました。
日本に帰ってからは、普段飲んでいたコーヒーが、何か物足りなく感じて、エスプレッソの店を探したりしたものです。(今ほどお店が多くなかった頃です)
その後、味覚も変わり、というか成長し、コロンビアなど、わりと酸味のあるコーヒーを好むようになりました。
とはいえ、正直なところ、それほど味にこだわりがあるわけでなく、単に好きな地域だから、という理由で、中米のものを意識して買っていました。

おそらく、その中米、に行って、これからお話するような体験をしなかったら、私とコーヒーとの付き合いは、そのまま、ささやかな良い関係で、一生を過ごしていたと思います。
私にとって初めての中南米、パナマで飲んだ、本場のコーヒー。
そのとき私が感じた印象は、
やっぱりコーヒーが美味しい。
そして、それは私にとって
これまで私の知っているコーヒー、
というより、
毎日飲む、お茶。
に近いものでした。